2021.01.28

地域から世界へ、世界から地域へ

− 「浜松いわた信用金庫」はなぜリアルテックと共にグローバルを目指すのか −

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繊維、楽器、オートバイを中心とし製造業の街とも称される地域がある。浜松市だ。ものづくりによって地域産業を盛り上げ、その技術力により多くの競争力を持った企業を輩出してきた。

今回インタビューを行う浜松いわた信用金庫は、そんなものづくりの基盤となる浜松市を中心とした地域金融機関であり、更なる地域の技術促進として、この度、リアルテックの国内ファンド、海外ファンドへのLP参画を表明した。

 

技術都市・浜松が抱える課題、そしてリアルテックファンドと地域金融機関が連携を取る意義はどこにあるのか。お話を伺った。

■インタビュアー

・リアルテックファンド グロースマネージャー 木下 太郎(以下、木下)

・リアルテックファンド グロースマネージャー 熊本 大樹(以下、熊本)

信用金庫がシリコンバレー、そして東南アジアを目指す意義

 

木下:

今回浜松いわた信用金庫様には、国内のリアルテックベンチャーを支援するグローカルディープテックファンド、東南アジアと日本を結ぶグローバルファンドへの出資を行っていただきました。地域金融機関として新たな取り組みだと思いますが、その背景にはどのような想いがあったのでしょうか。

 

浜松いわた信用金庫:

当金庫の概要として預金額2兆4,753億円(譲渡性預金含む、2020年3月31日現在)と全国の信用金庫の中ではトップクラスであり、2020年より当金庫理事長が全国信用金庫協会の会長に就任することになり、全国規模の取り組みを模範的に実施する使命を感じていました。常に挑戦する気持ちを持ち続ける姿勢を示しながら、その中で生まれる世界初の取り組みを実現するためには、当金庫だけではできないことにも積極的に取り組んで行く必要があります。そんな中、リバネスが実施している浜松テックプランターに参加した際にリアルテックファンドと出会い今回の取り組みを知りました。

リアルテックという領域はビジネスとしての面白さでだけではなく、世界に羽ばたくアイデアを全員で応援しよう、あの研究者の熱にコミットしよう、と全員で一体となって議論する空気があります。またそれとともに、事業会社や金融機関との連携を実現する一つのエコシステムとしての突出性・成熟性を感じました。リアルテックのような地球規模の課題を解決することが、当金庫としても実現していきたいことであると改めて感じ、リアルテックファンド・リバネスと強いパートナーシップを結びながら浜松地域を活性化させて行きたい気持ちから今回参画いたしました。

 

木下:

ありがとうございます。浜松いわた信用金庫様はこれまでも様々な活動を行っており、中でもシリコンバレーへの人材派遣プログラム等の海外展開も積極的に行っている印象です。

 

浜松いわた信用金庫:

2017年から人材派遣プログラムを開始し、毎年1名を常駐させています。またシリコンバレーのベンチャーキャピタルへの出資も行い、最先端の知見を持つシリコンバレーのベンチャーとの窓口を確保し、当地域の企業との接続を狙っています。私達は地域の発展に強い使命感を持っていますが、従来通りに地域に留まっていては地域の皆様の期待に応えることができないという危機感を持っています。


 

東南アジアにおけるインバウンドグローバライゼーション

 

熊本:

浜松いわた信用金庫様がシリコンバレーに人材を派遣することは初めてお聞きしました。これまで様々な取り組みを行う中で、どういった点を課題と感じておられたのでしょうか。

 

浜松いわた信用金庫:

当地域の産業基盤は、繊維に始まり楽器や輸送業へ移行し、現在は自動車産業を中心とした製造業に支えられています。しかし地域全体人口の減少に加え、新しい領域へのチャレンジになかなか踏み出せないお客様が多くいらっしゃる中で、「①海外マーケットの展開」と「②新領域への業種転換」をキーに取り組んでまいりました。

シリコンバレーは話を聞くと実際に行くとでは大違いで、非常に勉強になりました。また実際にシリコンバレーのベンチャーと浜松地域の企業の接続も行いましたが、言語の壁に加えて、ものづくりの技術のベースが異なる国とのコミュニケーションが、いかに難しいものかと実感しました。よく言われる話ですが「当たり前」が違うということの理解にとても時間がかかりました。

最先端の事例を理解する中で、地域金融機関としてまだまだ力を入れるべき役割の一つに国内のお客様の海外進出支援があると感じました。当金庫はバンコクにも駐在員事務所を立ち上げていることもあり、東南アジアも一つのマーケットとしてアプローチしていきたい中で、今回のグローバルファンドの取り組みをご紹介いただき、「インバウンドグローバライゼーションを通して、東南アジアの課題解決を実現する」というビジョンに大変共感しました。様々な技術やアセットを持っているものづくり企業がたくさん当地域にいる中で、東南アジアのベンチャーはそのものづくりに課題を感じていると知り、お客様にとって新しいマーケットを開拓できるのではないかと感じました。

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インバウンドグローバライゼーション:海外のテクノロジーベンチャーを日本に誘致し、日本の町工場によるモノづくり・技術実証を実施し、また世界に展開する

熊本:

実際にリバネスグループでは、2018年から大田区と連携したプロジェクトを進めており、関東地域での成功事例を作れたからこそ、中部地域でも同じように構想できないかというお話をさせていただきましたよね。シンガポールやマレーシアのベンチャーとの事例を共有させてもらいながら、この連携だったら実現できそう!というイメージを一緒に沸かせることができたのが大きかったですね。

 

浜松いわた信用金庫:

はい、グローバルファンドに地域の金融機関が参画するのは初めてということで、一つのユニークなケースとして様々な取り組みを実現できればと思っております。言語の壁を乗り越える点だけではなく、東南アジアのベンチャーからの新しいアイデアをどう当地域で活かすことができるか、ぜひたくさんディスカッションさせていただければと思っています。


 

地域を代表する新産業を作り出す

 

木下:

もう一つの軸であった「新産業の創出」については、どのように考えているのでしょうか?

 

浜松いわた信用金庫:

新産業の創出は、得意なものをベースに新たなアイデアをかけ合わせることが必要だと考えています。当地域には浜松ホトニクスに代表される光産業、スズキに代表される自動車産業があり、各々の次世代の産業化を促進するフォトンバレーセンターと次世代自動車センターという拠点が浜松市に設置されています。また、沼津地域にはあおいパークというアグリ分野の組織があり、焼津港等大きな漁港もあり、第一次産業の強みも活かすことができると考えています。

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ただ、イノベーションが起きる要素がアイデア×テクノロジーだと考えるのであれば、浜松・いわた地域だけでこの掛け算を生み出すにはどうしても限界があります。先ほどお話した「海外」のみならず、国内各地のアイデアや技術を集結させ、掛け算を起こしていくことが必要だと考えました。そこでグローカルディープテックファンドです。リアルテックファンドさんは他のファンドと違い大学への知見、地方へ投資比率6割超えと大学、地方という観点で強みをお持ちだと感じています。私たちが最も力を入れて行かなければいけない領域で、そこに関して新たな取り組みを行っていきたいです。日本全国の地域発の研究開発型ベンチャーを支援する取り組みにご一緒することによって、製造業を中心とした当地域の中小企業が日本全国の課題解決に貢献できるのではないかと期待しています。

 

木下:

私達はリアルテックベンチャーの支援の観点でも、スピード感を持った意志決定ができる、小ロットから対応していただける地域のものづくり企業との連携は非常に大事だと考えています。ただし、地域のものづくり企業はWEBで検索すれば見つかるわけではなく、このコネクションは非常に苦労しています。まさに今浜松いわた信用金庫様がやられようとしている領域ですよね?

 

浜松いわた信用金庫:

そうなんです。当金庫の取引先である中小企業が何か新しいプロジェクトを進めたいと思うとき、当金庫のコーディネーター的存在が様々な案を提案しにいきます。コーディネーターが知っている企業には限界があるのでどうしても偏りが出てしまう。だからこそ、取引先が誰のどのような課題を解決できるのかをまとめるデータベースが必要になると考えています。


 

地域金融機関としての使命感

 

浜松いわた信用金庫:

当金庫が次のステップに向かっていくには、新たな発想で資源を有効利用し、地域の雇用創出を実現していく必要があります。だからこそ重要となるのは、あらゆる地域の課題を自分たちの課題と捉える思考と、オープンな環境で多様な意見を取り入れることです。

 

コロナ環境下において産業構造は大きく変化しています。当金庫は過去の状態に戻すのではなく、より良い社会を作って行かなければなりません。そのベースとなるのはテクノロジースタートアップの方々の強いマインドであると信じていますし、彼らと共に既存の地元企業に熱を伝染していきたいと考えています。当金庫にとっての第二創業、とまでは言わないかもしれませんが、既存の地元企業が新たな事業を展開し、夢や希望と程よい危機感を常に持ち続け「みんなでかわろう!」「共に頑張ろう!」と感じてくれることを、ぜひリアルテックさんと一緒に取り組んでいければと思っています。
当金庫は地域の課題だけでなく、世界の課題を解決する存在として地方発のリアルテックベンチャーに大きな期待を寄せています。しかし、本当に世界の課題を解決するためには当金庫の力だけではまだ十分ではありません。地方の現状・課題を最もよく知る地域金融機関、東京とは異なる発展を遂げている多様な事業会社との連携による領域横断的なエコシステムの構築が不可欠です。

私達は地域の課題だけでなく、世界の課題を解決する存在として地方発のリアルテックベンチャーに大きな期待を寄せています。しかし、本当に世界の課題を解決するためには私達の力だけではまだ十分ではありません。地方の現状・課題を最もよく知る地域金融機関、東京とは異なる発展を遂げている多様な事業会社との連携による領域横断的なエコシステムの構築が不可欠です。

バックグラウンドは関係ありません、世界を変えたいと心から願う人を、その情熱を私達は求めています。

熱い想いをぜひお寄せください。ご連絡をお待ちしております。